エリート海上自衛官の最上愛
「全然、問題ありません!」

「一尉も一緒にいかがですか?」

 彼らは陽気に答える。もうすでに出来上がっている様子の受け答えに、晃輝が笑って答えた。

「俺はいいよ、気にせず楽しんでくれ」

「りょーかいしました!」

 彼らの中のひとりが大きな声で答えて大袈裟に敬礼する。後の三人から笑いが起こる。晃輝もくっくと笑いながら、カウンター席に座った。

「晃輝、なににする? 煮魚は売り切れだ。昼間のカレーが残ってるが」

「じゃあ、カレーで」

 そんなやり取りをしてから、マスターは厨房へ入っていく。

 芽衣が晃輝の前にお冷が入ったグラスを置くと、盛り上がる隊員たちから悔しそうな声があがった。

「それにしてもうらやましいなー。衣笠一尉は芽衣ちゃんに、おかえりなさいって言ってもらえるんだから」

「僕たちにもぜひお願いしたいよな」

 結局芽衣は、晃輝以外の客には、いらっしゃいませと言い続けている。

 晃輝だけに『おかえりなさい』と挨拶するのが定着していた。

「ここは晃輝さんの実家ですから」

 芽衣が頬を染めて言い訳をする隣で、晃輝が軽く釘を刺した。

「絡み酒はやめろよ」

 彼らは陽気に「はーい」と答えて、またわいわいと話しはじめた。

「上官らしいじゃないか」

 マスターがカウンター越しに晃樹の前にカレーを置いた。

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