エリート海上自衛官の最上愛
 あくまで芽衣が、自分にとって最善の答えを出せるようにと考えてくれている。

 ——知りたい、と芽衣は思った。 

 彼が人生を賭けている海上自衛官という仕事を。

 父を越えると言った時の強い眼差しに込められた思いを。

 付き合うための判断材料にするわけではなく、ただ彼の事を知りたかった。

「はい。直接、行こうと思います。船艦の見学は……ちょっと無理かもしれないけど。晃輝さんがお仕事をしているところが見られる貴重な機会ですし」

 熱い思いを感じながら答えると、晃輝がふっと笑った。

「嬉しいよ。……さっきのあいつらのこと言えないな」

 考えてみれば、うみかぜ以外で晃輝に会える機会が芽衣にとっては貴重だ。そう考えると途端に楽しみになってくる。

 さっきまでは海の近くにいくというだけで、参加しようなんて考えてもいなかったのに、現金だと自分で自分に呆れるくらいだった。

 晃輝が真面目な表情に戻って、口を開いた。

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