エリート海上自衛官の最上愛
「でもさっきの隊員みたいな奴らには気をつけてくれ。不必要に話かかけられたり、しつこくされるようなら誰でもいいから他の隊員に助けを求めればいい」

 それこそ不必要な心配をする晃輝に、おかしくなって芽衣はぷっと噴き出した。

「そんな心配、大丈夫ですよ。皆さんお仕事中でしょう?」

「いやだけど、隊員たちにとっては出会いの場でもあるんだよ。何年かに一回はイベントで知り合った相手と結婚するって隊員がいて……とはいえ俺はまだ君にこんなことを言える立場にはないんだが」

 熱くなる芽衣の頬に彼の手が伸びてくる。
 一瞬、引き寄られるのかと芽衣は思う。

 けれど彼はそうはせずに、ただ芽衣の頬にそっと触るだけだった。

 それでも、少しひんやりとする大きな彼の手の感覚に芽衣の胸は痛いくらいに高鳴った。今すぐにそのラインを越えてこちらへ来てほしいと思う一方で、一歩も動かない彼を、これ以上ないくらい素敵だと思う。

「日曜日の夜、連絡する」

 熱っぽい視線で自分を見つめる晃輝に、芽衣はこくんと頷いた。
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