エリート海上自衛官の最上愛
 ごにょごにょと言い訳をしていると、晃輝がふっと笑った。

「そういう君も、今日はいつもと違っていた。いつものまとめている髪も可愛いが、下ろしているのは反則だ」

「そっ……! そんな、ただ髪を下ろしていただけです」

「それでもだ」

 晃輝がそう言って足を止める。

 いつの間にかふたりは、坂道の途中にある小さな公園に来ている。見晴らしのいいこの公園は昼間は近くの小学生が遊んでいることもあるけれど、今は誰もいなかった。

「秋月さん」

 晃輝の声音が少し変わったことを感じて芽衣は背筋をスッと正す。経験のない芽衣にもいよいよだ、ということがわかった。心臓がバクバクと鳴っていて、少し手が震える。緊張でどうにかなってしまいそうだ。

「好きです」

 はっきりとした声で彼が口にしたストレートな言葉が、芽衣の胸を射抜いた。

「イベントで見てもらった通り俺の仕事は特殊だ。制約も多いから一般的な付き合いはできないと思う。……我慢してもらうことも多い。だけどその分、それ以外の場面では、全力で大切にすると誓う。俺と付き合ってほしい」

 誠実で真っ直ぐな彼らしい言葉を、芽衣はそのまま受け止める。嬉しくて迷うことなく頷いた。

「はい、よろしくお願いします」

 ぺこりと頭を下げて顔を上げると、視線の先で晃輝が安堵したようにふわりと笑った。

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