エリート海上自衛官の最上愛
別れたからといって、それでなにかが変わるようにも思えなかった。
もはや晃輝は芽衣とって大切な人であり、付き合っているかどうかなど関係なく心配でたまらない。この気持ちをいったいどうしたらいいのだろう?
……それに、この店は晃輝の実家なのだ。彼の気持ちに応えられないならば、ここを去らなくてはならないだろう。
愛する人と一緒にいられず、大好きな職も失い、これから先の人生が真っ暗に感じるくらいだった。
「ごちそうさん、帰るわ」
カウンターに座っていた直哉が立ち上がる。
物思いに耽っていた芽衣はハッとして振り返った。
レジへ行き会計をする。見送るために店の外へ出た。
いつもなら、一週間は間隔が開くのに、今日顔を出したのは芽衣を心配してくれたからだろう。
「直くん、来てくれてありがとう。気をつけて帰ってね。電車、今夜は止まらないと思うけど」
芽衣の言葉に答えず、直哉はじっとこちらを見ている。普段とは少し違う怖いくらいの視線に芽衣は首を傾げた。
「直くん?」
「——られねえよ」
「え?」
「そんなお前、見てられないよ」
突然、乱暴な言い方をした直哉に、芽衣はさらに混乱して瞬きを繰り返す。彼の言葉の意図するところがよくわからなかった。
いったいどうしたのかと問いかけようとしたその時、突然腕を引かれる。気がついた時には強く抱きしめられていた。
「俺なら、お前にそんな顔はさせない! いつもどんな時もそばにいて、お前を安心させてやれる。幸せにしてやれるのに……!」
もはや晃輝は芽衣とって大切な人であり、付き合っているかどうかなど関係なく心配でたまらない。この気持ちをいったいどうしたらいいのだろう?
……それに、この店は晃輝の実家なのだ。彼の気持ちに応えられないならば、ここを去らなくてはならないだろう。
愛する人と一緒にいられず、大好きな職も失い、これから先の人生が真っ暗に感じるくらいだった。
「ごちそうさん、帰るわ」
カウンターに座っていた直哉が立ち上がる。
物思いに耽っていた芽衣はハッとして振り返った。
レジへ行き会計をする。見送るために店の外へ出た。
いつもなら、一週間は間隔が開くのに、今日顔を出したのは芽衣を心配してくれたからだろう。
「直くん、来てくれてありがとう。気をつけて帰ってね。電車、今夜は止まらないと思うけど」
芽衣の言葉に答えず、直哉はじっとこちらを見ている。普段とは少し違う怖いくらいの視線に芽衣は首を傾げた。
「直くん?」
「——られねえよ」
「え?」
「そんなお前、見てられないよ」
突然、乱暴な言い方をした直哉に、芽衣はさらに混乱して瞬きを繰り返す。彼の言葉の意図するところがよくわからなかった。
いったいどうしたのかと問いかけようとしたその時、突然腕を引かれる。気がついた時には強く抱きしめられていた。
「俺なら、お前にそんな顔はさせない! いつもどんな時もそばにいて、お前を安心させてやれる。幸せにしてやれるのに……!」