親愛なる魔王様へ〜The Beast〜
二人とも同い年か。でも僕と対等に戦えるほどの実力は持っていなさそうだ。僕は二人に背を向けて歩き出す。すると走ってきたアーサーに肩を掴まれた。

「おい!どこ行くつもりだ!逃げんのか?」

ああ、本当に面倒くさい。クロード様がせっかく僕に任務を与えてくれたのに、こんな二人に絡まれていたままじゃ計画通りに進まない!

「……さっきからうるさいな。僕の邪魔をしないでよ!」

呪具を向けて魔法を放つ。でも避けられてしまった。冒険者育成学校に通っているわけだ。この程度の攻撃はかわせるのか。

「いきなり何すんだ!」

アーサーが怒る。僕は「君たちが邪魔するからでしょ」と言い放った。この二人をさっさと倒さなきゃ。時間がもったいない。クラル様はきっともう南側の破壊が終わっているだろうし、僕もいつまでも遊んでいられない。

「悪いけど、これ以上の邪魔をするなら命の保証はないよ?」

そう言いながら、魔力を呪具に貯めていく。紫に輝く呪具に二人は怯えた顔を一瞬したものの、ティムが口を開いた。
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