親愛なる魔王様へ〜The Beast〜
「僕、クラル・ディスペア!七歳!」

「あ、えっと、僕は……」

笑顔で自己紹介をしてくれたクラルさんに、僕も自己紹介をしなくてはと思ったけど、名前がわからないことに気付く。どうしようと焦っていると、「クラル!」とクラルさんによく似た男性が姿を見せる。彼は、ファンタジーもののゲームに出てきそうな衣装と剣を身に付けていた。

「えっ……」

ポカンとする僕の前で、男性はクラルさんを叱る。男性はクラルさんのお父さんのようだ。その中に野生のモンスターやら魔王やら言葉が出てきた。……どうやらここは普通の世界ではないらしい。

「……全く!あと、厄介な勇者に見つかったら殺されてしまうよ。奴らは我々を敵対視している。まあ、我々が敵対されることをしているんだけどね」

「ごめんなさい、父様」

クラルさんはシュンと俯いてしまった。するとクラルさんのお父さんが僕に目を向ける。

「ところで君は?見たところ、我々魔族ではなさそうだけど」

クラルさんのお父さんの目が変わった気がした。これは警戒の目だ。下手なことをすれば殺される。僕はゴクリと唾を飲み込み、口を開いた。
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