親愛なる魔王様へ〜The Beast〜
心ごと壊れてしまいそうになった僕だったけど、ふわりと抱き締められたことで我に返った。叫び声が止まる。僕を抱き締めてくれたのは、クラルさんだった。

「辛かったね。でも大丈夫。もう一人じゃないよ。僕もいるし父様もいるから」

「クラル、さ……」

涙が止まらない。僕はクラルさんの背中に腕を回した。こんな風に抱き締められたのっていつぶりだったっけ?人の温もりってこんなにも温かいんだ……。

「ねぇ父様!この子、家に開いてあげようよ。こんなところで一人ぼっちなんて可哀想」

「……そうだな。お前にもいつか側近は必要になるだろう」

クラルさんの提案にクラルさんのお父さんは大きく頷いた。どうやら置いて行かれることも殺されることもないようだ。ホッとしていると、クラルさんのお父さんが僕に言う。

「俺はクロード。クラルの父親で魔王兼剣術士だ。いずれ魔王の座はクラルのものとなる。その時、クラルを裏切らずそばにいるとここで誓いなさい」

「は、はい……!」
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