親愛なる魔王様へ〜The Beast〜

あまりにも見ていたせいか、クラル様が僕の方を不思議そうな顔で見る。僕は顔に熱が集まるのを感じながら「な、何でもありません！」と目を逸らした。

『主人、よかったですね。私も嬉しく思いますよ』

窓の外から八咫烏が話しかけてくる。僕は手をひらりと振った後、会議室として使われている一室へとクラル様と共に入った。

「失礼致します」

「父様、ルーチェを連れて来ました」

薄暗い部屋には、長いテーブルが一つと人数分の椅子のみが置かれている。余計な調度品は何もなく、少し殺風景に感じてしまうほどだ。

「ルーチェ、座りなさい」

椅子に気難しい顔で座っているクロード様が言った。その隣にはノア様が座っている。僕はクラル様の隣に座った。

「あの、僕も任務に参加させてもらえるんですよね」

僕が口を開くと、「ああ」とクロード様は大きく頷く。でも未だに顔はどこか険しい。すると、ノア様が口を開いた。

「ルーチェは呪具の化身である八咫烏を呼び起こし、魔法としての攻撃力は低いものの、本で得た知識などでカバーすることができる。だからクロードは迷っているのよ。あなたの初任務はどこがいいのかを」