punk guy, play guy





 両手をジーパンのぽけっとに適当にツッコむと
 トン、トンっとリズムを刻むような足取りのまま、オンナの後を追ってみることにした。



 「ねエ、」

 「…」

 「ねエって」


 「…ついて来ないでください」


 「えぇ?…じゃあーー、キスしてくれたらヤメてアゲル」


 「結構です」

 「ねチョット、」



 一向に振り向かねー頑固な「鼻子ちゃん」にはワリいケド、



 「ソッチ。駅、真逆じゃね?」

 「…」


 「────おぉっ、っと、」



 ぴたり、立ち止まった足。

 オレの歩みもトーゼン、同時に一時停止する。



 ガムを噛みながら、
 丁寧に切り揃えられてる座敷童子(ざしきわらし)みてえーなヘアスタイルの
 オンナを、

 覗きこむように肩口から顔を傾ければ
 わなわなと、イマにも爆発しそーな怒りの形相で。




 ・・・・・イマドキにしちゃ珍しくスレてねえオンナ。




 あんま
 堅物過ぎっと後々、"オ荷物"になってもしゃあねえーしなア。

 だからってこンな新種の拾いモンもそうそう、あるワケじゃナシ。



 ・・・・・・・さアて、

 どうすっかネエ。



 この辺で切り上げとくほうが無難、か?

 見たところ、表社会(アッチ)っ側の人間だろうしナ。




 ────…なンて自身の伸びた無精髭を、悠長に愛でながらウゥ〜ン、唸って
 視線を明後日の方向に向けた、

 ほんの
 一瞬の隙だ、



 視界の端を、────…突っ切ったオカッパ頭のはしこさに
 かるく呆けを食らって数秒、




 「────あア゛?!オ゛イッ!!!」



 俊敏に、機敏に。

 踵をかえしやがった小柄な姿が雑踏のなかに紛れ。

 気づけばそのオンナは宵の
 人波へ消え失せていった。


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