泡沫の人魚姫は海の中に消える
あぁ、退屈だな…


いつも通りの日々に転機が訪れたのは一瞬のことだった。




ーーーーーガシャン!



「えっ、なにこの音!?」



硬いもの同士がぶつかった時のような大きな音が鳴る。

どうやら、音の発生源は一階の庭のようだ。



運がいいことに今日はお父さんもお姉ちゃん達も出払っている。


好奇心を抑えられなくて一階の庭に足を運ぶ。


一瞬人影のようなものが見えて怯んだけど、恐る恐る庭を覗き込む。



「あれ、あの赤いのなんだろう…?」


不思議に思って近づいてみると、最初に見えたのは足。それも、人間の。

次に見えたのは真っ赤に染まった手。その次はお腹、またその次は背中と、人間の全身が少しずつ見えてくる。


「なにこれ…なにこれ、なにこれ!?」


サスペンス映画のワンシーンのような光景に目眩がする。

どうにか頭を切り替えてその人に駆け寄る。
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