人質生活を謳歌していた虐げられ王女は、美貌の公爵に愛を捧げられる
「女として愛されるためには、大変失礼ながらアリシア様では力不足だと思いますわ。私のような美しさがございます? いくら教養があられて、身分が高くていらっしゃっても、女は美貌がなければ殿方を虜にはできませんのよ?」
ふふふっと扇子で口元を隠してマティルデ様は妖艶に微笑む。
私が何も言い返さないのをいいことに、言いたい放題に言えて気持ち良かったらしい。
今回マティルデ様から呼び出されたのは、エドワード殿下の意を受けて、人質のくせに調子に乗るなと私に釘を刺すためなのかと思っていたら、どうやらマティルデ様の独断のようだ。
信じられないけどエドワード殿下が多少私に興味を持ったことが面白くなくて、女としてマウントを取りに来たのだろう。
……まあ、マティルデ様の言うこともあながち間違ってないわね。女として愛される技量なんて私にはないもの。
前世でも衣食住を維持するために働くことに精一杯で、恋愛には縁遠かった。
今世は言わずもがなだから、マティルデ様のように殿方を虜にする方法なんて知る由もないのは事実だ。
「ええ、マティルデ様のおっしゃる通りね。大丈夫、勘違いはしていないわ」
「分かってくださって良かったですわ」
マティルデ様は今日の用件を言い終えたようだし、私もこれ以上マティルデ様と優雅にお茶を飲むのもどうかと思い、お茶会はそれから早々と終了になった。
女同士のマウント取りって本当に面倒だわと思いながら自分の離宮に戻り、自室に入ろうとしたところで、扉前にいる護衛騎士が声をかけてきた。
「お帰りなさいませ、アリシア王女殿下。少し前にブライトウェル公爵がお越しです。ご不在の旨はお伝えしたのですがお戻りまでここで待つとのことで、応接間でお待ちでございます」
「えっ? ロイドが?」
今日はいつもの訪問日ではなかったはずだ。
何か急ぎのことでも起こったのだろうか。
私はお茶会に同行してくれた複数名の侍女の中からライラのみ残ってくれるよう指示を出し、ライラとともに部屋の中へ入った。
扉を閉めるなりベールを取り除き、その足で応接間に向かう。
「ロイド? 戻ったけど何か急ぎのことでもあったの?」
応接間に入ってソファーに向かって歩きながら私はロイドに声を掛ける。
ロイドはソファーに座ってのんびりと紅茶を飲んでいて、急いでいる様子は見受けられない。
私が向かいのソファーに腰を下ろすのを見届けてから、彼は私を見て口を開いた。
「側妃のマティルデ様からお茶会に招かれたと耳にしましたが、大丈夫でしたか?」
「えっ? 大丈夫ってどういう意味?」
「散々なことを言われたのではと思いまして」
ふふふっと扇子で口元を隠してマティルデ様は妖艶に微笑む。
私が何も言い返さないのをいいことに、言いたい放題に言えて気持ち良かったらしい。
今回マティルデ様から呼び出されたのは、エドワード殿下の意を受けて、人質のくせに調子に乗るなと私に釘を刺すためなのかと思っていたら、どうやらマティルデ様の独断のようだ。
信じられないけどエドワード殿下が多少私に興味を持ったことが面白くなくて、女としてマウントを取りに来たのだろう。
……まあ、マティルデ様の言うこともあながち間違ってないわね。女として愛される技量なんて私にはないもの。
前世でも衣食住を維持するために働くことに精一杯で、恋愛には縁遠かった。
今世は言わずもがなだから、マティルデ様のように殿方を虜にする方法なんて知る由もないのは事実だ。
「ええ、マティルデ様のおっしゃる通りね。大丈夫、勘違いはしていないわ」
「分かってくださって良かったですわ」
マティルデ様は今日の用件を言い終えたようだし、私もこれ以上マティルデ様と優雅にお茶を飲むのもどうかと思い、お茶会はそれから早々と終了になった。
女同士のマウント取りって本当に面倒だわと思いながら自分の離宮に戻り、自室に入ろうとしたところで、扉前にいる護衛騎士が声をかけてきた。
「お帰りなさいませ、アリシア王女殿下。少し前にブライトウェル公爵がお越しです。ご不在の旨はお伝えしたのですがお戻りまでここで待つとのことで、応接間でお待ちでございます」
「えっ? ロイドが?」
今日はいつもの訪問日ではなかったはずだ。
何か急ぎのことでも起こったのだろうか。
私はお茶会に同行してくれた複数名の侍女の中からライラのみ残ってくれるよう指示を出し、ライラとともに部屋の中へ入った。
扉を閉めるなりベールを取り除き、その足で応接間に向かう。
「ロイド? 戻ったけど何か急ぎのことでもあったの?」
応接間に入ってソファーに向かって歩きながら私はロイドに声を掛ける。
ロイドはソファーに座ってのんびりと紅茶を飲んでいて、急いでいる様子は見受けられない。
私が向かいのソファーに腰を下ろすのを見届けてから、彼は私を見て口を開いた。
「側妃のマティルデ様からお茶会に招かれたと耳にしましたが、大丈夫でしたか?」
「えっ? 大丈夫ってどういう意味?」
「散々なことを言われたのではと思いまして」