人質生活を謳歌していた虐げられ王女は、美貌の公爵に愛を捧げられる
25. 王太子のご乱心
「なんだかここ最近ずっとボンヤリされていますね。やはり何かあったのですか?」
離宮内の自分の部屋で、紅茶を淹れてもらっていた私はライラのその声でハッとする。
ふとした瞬間に考えごとをしてしまい、意識は別のどこかを彷徨ってしまっていたのだ。
その理由は分かっている。
原因はロイドのことだ。
あのお祭りに行った日から1ヶ月半が経った。
実はあの日以来、ロイドはパタリとこの部屋に訪問して来なくなっていた。
3日に1回あった訪問は、連絡係の任を解かれたというロイドの従者からの連絡があっただけで、あっさりなくなったのだ。
「大丈夫。何もないわよ。心配しないで」
「それなら良いですけど。それにしてもブライトウェル公爵様がいらっしゃらないと、本当に静かな毎日ですね」
「そうね……」
ロイドの訪問がなくなった今、この離宮を訪れる人なんて誰もいない。
まさに人質らしく大人しく籠っている状態だった。
改めてロイドの存在が私にとっていかに大きかったのかを痛感する次第だ。
……でもこれで良かったのかもしれないわ。少し時期が早まっただけでいずれこうなるはずだったのだもの。
あのお祭り日、私の勘違いでなければ、私とロイは気持ちを通じ合わせたのだと思う。
お互いにお互いを想っていると。
今思い出してもあの瞬間は全身が震えるくらい嬉しかったし、幸せだった。
ロイドは私の願いを叶えると独り言として言ってくれたけど、それは土台無理な話だと分かっている。
なにしろ私の婚約者はこの国の王太子であり、同盟のために王族同士が婚姻を結ばなければならないのだ。
いくらロイドが優秀でもこればっかりはどうしようもないと思う。
だから私はエドワード殿下との結婚は必然の未来として覚悟している。
その婚姻までは、今まで通りロイドが訪問して来てくれて会えると甘い考えを持っていたけど、婚姻してしまえばそれが叶わなくなることは最初から分かっていた。
婚姻すれば私の住まいは、本殿の王太子妃用の部屋へ移動になり、エドワード殿下の隣続きの部屋になるそうだ。
まぁ、エドワード殿下はマティルデ様のところに籠りきりでほぼいないのだろうけど、その王太子妃の部屋に夫でもない異性が頻繁に訪ねてくることはありえないのだ。
離宮内の自分の部屋で、紅茶を淹れてもらっていた私はライラのその声でハッとする。
ふとした瞬間に考えごとをしてしまい、意識は別のどこかを彷徨ってしまっていたのだ。
その理由は分かっている。
原因はロイドのことだ。
あのお祭りに行った日から1ヶ月半が経った。
実はあの日以来、ロイドはパタリとこの部屋に訪問して来なくなっていた。
3日に1回あった訪問は、連絡係の任を解かれたというロイドの従者からの連絡があっただけで、あっさりなくなったのだ。
「大丈夫。何もないわよ。心配しないで」
「それなら良いですけど。それにしてもブライトウェル公爵様がいらっしゃらないと、本当に静かな毎日ですね」
「そうね……」
ロイドの訪問がなくなった今、この離宮を訪れる人なんて誰もいない。
まさに人質らしく大人しく籠っている状態だった。
改めてロイドの存在が私にとっていかに大きかったのかを痛感する次第だ。
……でもこれで良かったのかもしれないわ。少し時期が早まっただけでいずれこうなるはずだったのだもの。
あのお祭り日、私の勘違いでなければ、私とロイは気持ちを通じ合わせたのだと思う。
お互いにお互いを想っていると。
今思い出してもあの瞬間は全身が震えるくらい嬉しかったし、幸せだった。
ロイドは私の願いを叶えると独り言として言ってくれたけど、それは土台無理な話だと分かっている。
なにしろ私の婚約者はこの国の王太子であり、同盟のために王族同士が婚姻を結ばなければならないのだ。
いくらロイドが優秀でもこればっかりはどうしようもないと思う。
だから私はエドワード殿下との結婚は必然の未来として覚悟している。
その婚姻までは、今まで通りロイドが訪問して来てくれて会えると甘い考えを持っていたけど、婚姻してしまえばそれが叶わなくなることは最初から分かっていた。
婚姻すれば私の住まいは、本殿の王太子妃用の部屋へ移動になり、エドワード殿下の隣続きの部屋になるそうだ。
まぁ、エドワード殿下はマティルデ様のところに籠りきりでほぼいないのだろうけど、その王太子妃の部屋に夫でもない異性が頻繁に訪ねてくることはありえないのだ。