人質生活を謳歌していた虐げられ王女は、美貌の公爵に愛を捧げられる
07. 臨時アルバイト
「いらっしゃいませー! 何名様ですか?」
「あれ? 君、見ない顔だね。新人なの?」
「ええ、まぁそんな感じです」
「えらい美人さんじゃないか。名前はなんて言うの?」
「シアです」
私はニコリと微笑んで、お客さんを席へと案内し注文を取ると厨房へ伝える。
エドガーさんは厨房で次々に入る注文を忙しそうに必死にさばいていた。
店内を見ればすでに満席になり、ガヤガヤと人の声がざわめき、大変な活気がある。
その中をミアも慌ただしく駆け回っていた。
「すみませーん! 注文お願いします!」
「はい、伺いまーす!」
声を掛けられて私も小走りでそちらへ向かう。
なぜ王女の私が今こうして『フォルトゥナ』の店内で店員をやっているのか。
その理由は数時間前に遡る。
私はこの日、約10日ぶりに2回目の王宮からの抜け出しを実行に移していた。
今回も慎重にことを進め、昼前には無事城下町に到着することができた。
まずは前回のことがあってその後が気になっていた『フォルトゥナ』に向かう。
昼営業も始めたと耳にしたが、忙しいだろうかと思いながら訪れたところ、まだ営業前のようだった。
コンコンとドアを控えめにノックしてみれば、準備中で中に人はいたらしく、ミアが顔を覗かせた。
「シアさんっ!」
私の姿を視界に入れるなり、ミアは目を見開いて大きな声を上げる。
それに反応して店内からエドガーさんも姿を現した。
「おお! 本当にシアさん! また来てくれるのを待っていたよ。とりあえずどうぞ中へ入ってくれ」
2人に促され、準備中の店内に足を踏み入れる。
店内のテーブルの上にはカトラリーがすでにセットされていて、仕込みの良い匂いも漂い、昼営業をしているというのは事実である様子が伺えた。
「昼営業を始めたって聞いたのだけど本当だったのね」
「そうなんです。もうあの日からお客さんが大量に押し寄せて、夜だけじゃ間に合わなくて。思い切って昼も営業することにしたんです!」
「いや、本当にすごい効果だったよ。俺もミアもあの日は腰が抜けるかというくらい驚いた。あの日以来、集客に悩む暇はないし、ありがてぇことに固定客も増えてきてな。すべてシアさんのおかげだ。なにからなにまで、本当にありがとう」
2人はどうやら私の訪問をずっと心待ちにしていたらしく、口々にいかに凄かったかを語って聞かせてくれる。
同時に何度も何度もお礼を言って頭を下げてきた。
「あれ? 君、見ない顔だね。新人なの?」
「ええ、まぁそんな感じです」
「えらい美人さんじゃないか。名前はなんて言うの?」
「シアです」
私はニコリと微笑んで、お客さんを席へと案内し注文を取ると厨房へ伝える。
エドガーさんは厨房で次々に入る注文を忙しそうに必死にさばいていた。
店内を見ればすでに満席になり、ガヤガヤと人の声がざわめき、大変な活気がある。
その中をミアも慌ただしく駆け回っていた。
「すみませーん! 注文お願いします!」
「はい、伺いまーす!」
声を掛けられて私も小走りでそちらへ向かう。
なぜ王女の私が今こうして『フォルトゥナ』の店内で店員をやっているのか。
その理由は数時間前に遡る。
私はこの日、約10日ぶりに2回目の王宮からの抜け出しを実行に移していた。
今回も慎重にことを進め、昼前には無事城下町に到着することができた。
まずは前回のことがあってその後が気になっていた『フォルトゥナ』に向かう。
昼営業も始めたと耳にしたが、忙しいだろうかと思いながら訪れたところ、まだ営業前のようだった。
コンコンとドアを控えめにノックしてみれば、準備中で中に人はいたらしく、ミアが顔を覗かせた。
「シアさんっ!」
私の姿を視界に入れるなり、ミアは目を見開いて大きな声を上げる。
それに反応して店内からエドガーさんも姿を現した。
「おお! 本当にシアさん! また来てくれるのを待っていたよ。とりあえずどうぞ中へ入ってくれ」
2人に促され、準備中の店内に足を踏み入れる。
店内のテーブルの上にはカトラリーがすでにセットされていて、仕込みの良い匂いも漂い、昼営業をしているというのは事実である様子が伺えた。
「昼営業を始めたって聞いたのだけど本当だったのね」
「そうなんです。もうあの日からお客さんが大量に押し寄せて、夜だけじゃ間に合わなくて。思い切って昼も営業することにしたんです!」
「いや、本当にすごい効果だったよ。俺もミアもあの日は腰が抜けるかというくらい驚いた。あの日以来、集客に悩む暇はないし、ありがてぇことに固定客も増えてきてな。すべてシアさんのおかげだ。なにからなにまで、本当にありがとう」
2人はどうやら私の訪問をずっと心待ちにしていたらしく、口々にいかに凄かったかを語って聞かせてくれる。
同時に何度も何度もお礼を言って頭を下げてきた。