人質生活を謳歌していた虐げられ王女は、美貌の公爵に愛を捧げられる
焦ったように困っているわけではないとアリシア様が説明をしてくれるのを聞くと、私は現状維持を決定付けてまた無意識にさっさとこの話を終わらせていた。
それにアリシア様が何気なく口走った「ロイドから色々教えてもらうことはとても楽しい」という言葉に、どうやら私は喜びを感じているようだった。
そんな自分の不思議な言動と心の動きに、自分自身がついて行けず困惑が訪れる。
……この前もアリシア様の無欲な発言の不可解さに戸惑ったばかりだというのに、今度は自分自身が不可解だとは。なぜだかアリシア様に会うとペースが崩れるな。
涼しい顔で何事もこなすため冷静沈着だと周囲に評される私はめったに自分のペースを乱すことはない。
だというのに、この事態は一体どういうことなのだろうか。
訪問頻度の話に決着がついた会話は、次にいつものように報告と質問の確認に移る。
今日は特に質問はないというアリシア様となんとなくもう少し話していたい気分になり、私は自分から話題を提供し出した。
「つい先日のことなんですが、ある酒場が独特な手法で一気に注目を集めて、今城下町で大変な人気になっているんですよ」
それは密偵から辺境伯の動向報告を受けた時に、合わせて王都城下町の目立った動きとして報告に上っていた情報だった。
その時は何気なく聞いていたのだが、そういえばアリシア様は城下町に興味をお持ちだったなとふと今思い出したのだ。
案の定、アリシア様は興味をそそられたようで、体が前のめりになっている。
分かりやすく反応するその姿に、不敬ながら可愛らしいと思ってしまった。
「そのお店の名前って……?」
具体的な店名まで知りたいと思うほど、興味関心があるらしい。
私はその店が仕掛けたという”半額クーポン”と“チュウセン”という手法について話した。
実際なかなかよく考えられた仕組みだと私も思うし、今までにない目新しさや斬新さは称賛に値する。
アリシア様もいたく感心したようで、なんとなくいつもより声が弾んでいるように感じた。
……アリシア様が喜んでいたり、楽しんでいたりすると、なぜだか私まで同じような気分になるな。ご機嫌伺い係としての任を全うできているからか?
そもそも任務とはいえ、女嫌いな私がこうして女性と普通の会話をしていること自体が珍しく、さらに言えば女性に対して可愛らしいと思うことなど異例だということにこの時の私は全く自分で気付いていなかった。
それにアリシア様が何気なく口走った「ロイドから色々教えてもらうことはとても楽しい」という言葉に、どうやら私は喜びを感じているようだった。
そんな自分の不思議な言動と心の動きに、自分自身がついて行けず困惑が訪れる。
……この前もアリシア様の無欲な発言の不可解さに戸惑ったばかりだというのに、今度は自分自身が不可解だとは。なぜだかアリシア様に会うとペースが崩れるな。
涼しい顔で何事もこなすため冷静沈着だと周囲に評される私はめったに自分のペースを乱すことはない。
だというのに、この事態は一体どういうことなのだろうか。
訪問頻度の話に決着がついた会話は、次にいつものように報告と質問の確認に移る。
今日は特に質問はないというアリシア様となんとなくもう少し話していたい気分になり、私は自分から話題を提供し出した。
「つい先日のことなんですが、ある酒場が独特な手法で一気に注目を集めて、今城下町で大変な人気になっているんですよ」
それは密偵から辺境伯の動向報告を受けた時に、合わせて王都城下町の目立った動きとして報告に上っていた情報だった。
その時は何気なく聞いていたのだが、そういえばアリシア様は城下町に興味をお持ちだったなとふと今思い出したのだ。
案の定、アリシア様は興味をそそられたようで、体が前のめりになっている。
分かりやすく反応するその姿に、不敬ながら可愛らしいと思ってしまった。
「そのお店の名前って……?」
具体的な店名まで知りたいと思うほど、興味関心があるらしい。
私はその店が仕掛けたという”半額クーポン”と“チュウセン”という手法について話した。
実際なかなかよく考えられた仕組みだと私も思うし、今までにない目新しさや斬新さは称賛に値する。
アリシア様もいたく感心したようで、なんとなくいつもより声が弾んでいるように感じた。
……アリシア様が喜んでいたり、楽しんでいたりすると、なぜだか私まで同じような気分になるな。ご機嫌伺い係としての任を全うできているからか?
そもそも任務とはいえ、女嫌いな私がこうして女性と普通の会話をしていること自体が珍しく、さらに言えば女性に対して可愛らしいと思うことなど異例だということにこの時の私は全く自分で気付いていなかった。