人質生活を謳歌していた虐げられ王女は、美貌の公爵に愛を捧げられる
17. 明らかになったコト(Sideロイド)
即効性の高い疲労回復薬を手に入れてからというものの、肉体的な疲労が減ったことで政務が捗る日々が続いていた。
今まで余裕がなくて手が回せていなかった王都の治安回復に向けても手を打つことにし、私はあの訳アリ貴族シアが提案していた ”炊き出し” を試しに城下町で実施してみた。
これが思いのほか反響が良く、たむろしていた浮浪者が減って治安が改善される様子が見られた。
それにより王都各所で横展開するに至り、直接的な治安回復効果だけでなく、平民からの貴族に対する心象も良くなるという副次的効果も生まれた。
この施策は王家が主導していることになっているので、王家への信頼が回復し、反王家勢力を削ぐのにも繋がることを願うばかりだ。
……実際はエドワード様へは一言報告しただけで、生返事で了承を得ただけだが。
相変わらずなエドワード様を思い出して、はぁとため息を漏らすと、そのタイミングで扉をノックする音が執務室に響いた。
私が入室を許可する声を上げると、「失礼いたします」という礼儀正しい声をとともにブライトウェル公爵家の家令バーナードが中へ入って来た。
私は今、王都から離れ、束の間の領地滞在をしている。
父の代から公爵家に仕える初老の家令バーナードとは長い付き合いだ。
それこそ私が生まれた時から私を知っているわけで、父を早くに亡くした私を支えてくれた存在でもある。
「公爵領にお戻りになっても執務室に籠っておられてばかりですね」
「たまにしか領地には帰って来れないからな。いつもバーナードに任せてばかりでもあるし、帰った時くらい領主らしいこともしないと」
「ロイド様はいつも立派に領主を務めてらっしゃいますよ。私が代行できるのは、領民からロイド様が慕われているゆえです。お亡くなりになられた旦那様もさぞ誇りに思っておられることでしょう」
バーナードは話しながら目頭を熱くし、自身の孫を眺めるような慈愛に満ちた眼差しを向けてきた。
成人を超えてもバーナードには子供扱いされている気がして、なんとも居心地が悪い。
私は空気を変えるために、あえて少しぶっきらぼうな口調で切り出す。
「それで、何か用があって来たんじゃないのか?」
「ああ、そうでございました。実はロイド様にご報告があるのです」
そう言うと、バーナードは3通の書簡を懐から取り出し、それを私に手渡してきた。
私宛の書簡も目を通して良いとバーナードには許可を出しているため、すでに拝読したようで封が切られていた。
書簡に封をする為に蝋を垂らし紋章を押した部分に私は目を止め、わずかに眉を寄せる。
その紋章に見覚えがあったからだ。
今まで余裕がなくて手が回せていなかった王都の治安回復に向けても手を打つことにし、私はあの訳アリ貴族シアが提案していた ”炊き出し” を試しに城下町で実施してみた。
これが思いのほか反響が良く、たむろしていた浮浪者が減って治安が改善される様子が見られた。
それにより王都各所で横展開するに至り、直接的な治安回復効果だけでなく、平民からの貴族に対する心象も良くなるという副次的効果も生まれた。
この施策は王家が主導していることになっているので、王家への信頼が回復し、反王家勢力を削ぐのにも繋がることを願うばかりだ。
……実際はエドワード様へは一言報告しただけで、生返事で了承を得ただけだが。
相変わらずなエドワード様を思い出して、はぁとため息を漏らすと、そのタイミングで扉をノックする音が執務室に響いた。
私が入室を許可する声を上げると、「失礼いたします」という礼儀正しい声をとともにブライトウェル公爵家の家令バーナードが中へ入って来た。
私は今、王都から離れ、束の間の領地滞在をしている。
父の代から公爵家に仕える初老の家令バーナードとは長い付き合いだ。
それこそ私が生まれた時から私を知っているわけで、父を早くに亡くした私を支えてくれた存在でもある。
「公爵領にお戻りになっても執務室に籠っておられてばかりですね」
「たまにしか領地には帰って来れないからな。いつもバーナードに任せてばかりでもあるし、帰った時くらい領主らしいこともしないと」
「ロイド様はいつも立派に領主を務めてらっしゃいますよ。私が代行できるのは、領民からロイド様が慕われているゆえです。お亡くなりになられた旦那様もさぞ誇りに思っておられることでしょう」
バーナードは話しながら目頭を熱くし、自身の孫を眺めるような慈愛に満ちた眼差しを向けてきた。
成人を超えてもバーナードには子供扱いされている気がして、なんとも居心地が悪い。
私は空気を変えるために、あえて少しぶっきらぼうな口調で切り出す。
「それで、何か用があって来たんじゃないのか?」
「ああ、そうでございました。実はロイド様にご報告があるのです」
そう言うと、バーナードは3通の書簡を懐から取り出し、それを私に手渡してきた。
私宛の書簡も目を通して良いとバーナードには許可を出しているため、すでに拝読したようで封が切られていた。
書簡に封をする為に蝋を垂らし紋章を押した部分に私は目を止め、わずかに眉を寄せる。
その紋章に見覚えがあったからだ。