人質生活を謳歌していた虐げられ王女は、美貌の公爵に愛を捧げられる
「大変だったな。それでその使者はこちらの返答の書簡待ちでしばらく滞在するのか?」
「1週間くらいは滞在予定みたい。ていうかね、実は書簡を受け取った後、その使者が思わぬことを言い出してさ。アリシア王女殿下にお目通りしたいって言ったんだよ」
「アリシア様に?」
「まぁ使者がこの国にいる自国の王女と会いたいということ自体は不思議ではないけど、アリシア王女殿下は人質みたいな立場でしょ? だから会わせて良いものか判断に迷ってさ。で、エドワード様への確認や許可、それにアリシア王女殿下本人への意向の確認……とホントに忙しかった……」
アランは労ってくれと言わんばかりに、これ見よがしにため息を吐き出した。
私が不在の間に不測の事態で忙しかったのは認めるが、今はその話の続きの方が気になった。
それでどうなったのかと問えば、アランは続きを口にし出す。
「エドワード様は監視下であれば会うのは認めたよ。最初は人質にそんな権利はないって強固な態度だったけど、マティルデ様がお可哀想だわって口を挟んでさ。エドワード様はマティルデ様の慈悲深さに感動して最終的に意見を変えて許可を出したって顛末だけどね」
聞いているだけでその一場面が脳裏にありありと浮かんでくる。
おそらく側妃は心からの慈悲で発言したわけではなく、何か別の思惑があったのだろう。
……内通の罪を被せられないかとでも浅はかに思ったのだろうな。まぁ監視が付けられることになってそれは失敗したのだろうが。
「アリシア王女殿下も会いたい意向だったから、僕が監視として立ち会ったんだけど……2人の会話を聞いて驚いたよ。ずいぶん親しい間柄みたいでさ、特に使者である副団長の方はかなりアリシア王女殿下を慕っている感じだったなぁ。後で聞いたら幼なじみだって王女はおっしゃってたよ」
強面の副団長がアリシア王女殿下を見た途端に満面の笑みを浮かべたとか、距離感が近かっただとか、どれほど2人か親密な様子だったかをアランは私に向かって話す。
アランとしては自分が見聞きして印象的だったことを述べているに過ぎない。
何かの出来事を話す時のいつものアランと同じなのだが、なぜかこの日は話を聞いていて私は無性に苛立ちを感じた。
これ以上この話を耳にしたくない気分になり、ついにはアランの話を遮った。
「1週間くらいは滞在予定みたい。ていうかね、実は書簡を受け取った後、その使者が思わぬことを言い出してさ。アリシア王女殿下にお目通りしたいって言ったんだよ」
「アリシア様に?」
「まぁ使者がこの国にいる自国の王女と会いたいということ自体は不思議ではないけど、アリシア王女殿下は人質みたいな立場でしょ? だから会わせて良いものか判断に迷ってさ。で、エドワード様への確認や許可、それにアリシア王女殿下本人への意向の確認……とホントに忙しかった……」
アランは労ってくれと言わんばかりに、これ見よがしにため息を吐き出した。
私が不在の間に不測の事態で忙しかったのは認めるが、今はその話の続きの方が気になった。
それでどうなったのかと問えば、アランは続きを口にし出す。
「エドワード様は監視下であれば会うのは認めたよ。最初は人質にそんな権利はないって強固な態度だったけど、マティルデ様がお可哀想だわって口を挟んでさ。エドワード様はマティルデ様の慈悲深さに感動して最終的に意見を変えて許可を出したって顛末だけどね」
聞いているだけでその一場面が脳裏にありありと浮かんでくる。
おそらく側妃は心からの慈悲で発言したわけではなく、何か別の思惑があったのだろう。
……内通の罪を被せられないかとでも浅はかに思ったのだろうな。まぁ監視が付けられることになってそれは失敗したのだろうが。
「アリシア王女殿下も会いたい意向だったから、僕が監視として立ち会ったんだけど……2人の会話を聞いて驚いたよ。ずいぶん親しい間柄みたいでさ、特に使者である副団長の方はかなりアリシア王女殿下を慕っている感じだったなぁ。後で聞いたら幼なじみだって王女はおっしゃってたよ」
強面の副団長がアリシア王女殿下を見た途端に満面の笑みを浮かべたとか、距離感が近かっただとか、どれほど2人か親密な様子だったかをアランは私に向かって話す。
アランとしては自分が見聞きして印象的だったことを述べているに過ぎない。
何かの出来事を話す時のいつものアランと同じなのだが、なぜかこの日は話を聞いていて私は無性に苛立ちを感じた。
これ以上この話を耳にしたくない気分になり、ついにはアランの話を遮った。