人質生活を謳歌していた虐げられ王女は、美貌の公爵に愛を捧げられる
「それで、書簡の返答の準備はどうなってるんだ?」
「えっ、ああ、これからだけど?」
「さっさと持ち帰ってもらう書簡を準備して、明日にでも渡してしまわないか? こちらで下書きしておけばエドワード様に王家の紋章を入れてもらうだけだし明日でも可能だろう? 鬼神と言われる腕のある人物に長期滞在されるのは不安要素になるからな」
交渉において、どうせリズベルト王国側が何を言ってきても、こちら側の主張はさして変わらない。
先の戦争で勝ったのはこちらであり、有利に交渉を進められる立場にあるのだ。
私はさっそくアランから使者が持って来た書簡を預かると内容を確認して、それに対する返答を作成していく。
思った通り、ここは主張を変えずに言い切る姿勢を見せる局面の内容だった。
「アラン、使者が滞在している宿は聞いているか? 明日再度王宮に来るよう先触れを出しておきたい」
「本当にサクッと終わらせる気なんだね。宿は聞いてるよ」
アランから宿を聞き、従者に先触れを2ヶ所に依頼する。
一つは使者のところ、もう一つはエドワード様のところだ。
翌日、先触れを出しておいた通りにまずエドワード様のところへ伺い、書簡へ王家の紋章印をもらう。
そしてその書簡を手元に待っていると、午後に例の使者が王宮へやって来た。
ちなみに本来はエドワード様が使者に会って手渡してもらうのが望ましいのだが、「使者ごときに私が出る必要はない」と予想通り一蹴されている。
なので、王太子の側近であり、王位継承権第2位の私が代理を務めることになっていた。
「お初にお目にかかります、ブライトウェル公爵。私は王の命を受けリズベルト王国から使者として参りました、スヴェン・ルシフェルと申します」
「ロイド・ブライトウェルだ。昨日来てもらったばかりで悪いが、返答の書簡が整ったので渡させてもらいたい」
「お早いご返答に驚きました。受け取りまして我が国の王へ必ずお渡しいたします」
私は従者に書簡を手渡し、それを従者が使者に丁寧に手渡す。
手元に受け取ったルシフェル卿は確認するように書簡をまじまじと見つめた。
一方の私は、謁見の間で対面するそのルシフェル卿に観察するような目を向けた。
……この男が鬼神と呼ばれるリズベルト王国騎士団の副団長で、アリシア様と親しい間柄の幼なじみか。
「えっ、ああ、これからだけど?」
「さっさと持ち帰ってもらう書簡を準備して、明日にでも渡してしまわないか? こちらで下書きしておけばエドワード様に王家の紋章を入れてもらうだけだし明日でも可能だろう? 鬼神と言われる腕のある人物に長期滞在されるのは不安要素になるからな」
交渉において、どうせリズベルト王国側が何を言ってきても、こちら側の主張はさして変わらない。
先の戦争で勝ったのはこちらであり、有利に交渉を進められる立場にあるのだ。
私はさっそくアランから使者が持って来た書簡を預かると内容を確認して、それに対する返答を作成していく。
思った通り、ここは主張を変えずに言い切る姿勢を見せる局面の内容だった。
「アラン、使者が滞在している宿は聞いているか? 明日再度王宮に来るよう先触れを出しておきたい」
「本当にサクッと終わらせる気なんだね。宿は聞いてるよ」
アランから宿を聞き、従者に先触れを2ヶ所に依頼する。
一つは使者のところ、もう一つはエドワード様のところだ。
翌日、先触れを出しておいた通りにまずエドワード様のところへ伺い、書簡へ王家の紋章印をもらう。
そしてその書簡を手元に待っていると、午後に例の使者が王宮へやって来た。
ちなみに本来はエドワード様が使者に会って手渡してもらうのが望ましいのだが、「使者ごときに私が出る必要はない」と予想通り一蹴されている。
なので、王太子の側近であり、王位継承権第2位の私が代理を務めることになっていた。
「お初にお目にかかります、ブライトウェル公爵。私は王の命を受けリズベルト王国から使者として参りました、スヴェン・ルシフェルと申します」
「ロイド・ブライトウェルだ。昨日来てもらったばかりで悪いが、返答の書簡が整ったので渡させてもらいたい」
「お早いご返答に驚きました。受け取りまして我が国の王へ必ずお渡しいたします」
私は従者に書簡を手渡し、それを従者が使者に丁寧に手渡す。
手元に受け取ったルシフェル卿は確認するように書簡をまじまじと見つめた。
一方の私は、謁見の間で対面するそのルシフェル卿に観察するような目を向けた。
……この男が鬼神と呼ばれるリズベルト王国騎士団の副団長で、アリシア様と親しい間柄の幼なじみか。