攻略不可能なクソゲーのヒロインに転生していたので、殺される前に離脱したい 〜溺愛ルート? 何それ?〜
ディランの初期イベント『令嬢ごっこ』
ディランの初期イベント『令嬢ごっこ』は、テーマに合ったドレスやアクセサリーを選び、それを実際に自分で着るというものだ。
元平民で貴族令嬢の決まりなど何も知らない私をバカにするための、趣味の悪いディランのお遊びの1つである。
ちなみに、どの選択肢を選んでも好感度が下がるというクソゲーっぷりを発揮するイベントでもある。
①の黒のドレスを選ぶと、「お茶会にそんな暗い色のドレスを着て行こうとするとは、無知もいいところだな」と言われて好感度が1%下がるのよね。
「暗い色のドレスは却下」
たくさんのドレスの中から、暗い色のコーナーを素通りする。
②の赤いドレスは、「顔に似合わないドレスを選ぶなんて、派手なものを選べばいいと思っている平民臭を感じるな」と言われて好感度が2%下がる……。
「派手な色のドレスも却下ね」
赤や濃いオレンジ色などの派手な色のコーナーも素通りする。
これは私をバカにするために用意されたドレスだって、ストーリーのどこかで説明されていた気がする。
こんな色の似合わないドレスしか用意されなかったから、ゲームの中のフェリシーはいつも3兄弟からバカにされてたのね。
ほんっと性格最悪なんだから!
そして、最後の選択肢……③ピンク色のドレス。
「1番無難なドレスと見せかけて、実は1番選んじゃいけないやつ……」
この選択肢で出てくるピンク色のドレスは、行方不明になった本物の妹──エリーゼのドレスなのだ。
ディランの意向で、私はエリーゼのドレスや服を着てはいけないと言われている。
それにも関わらず、選択肢に入っていたのがこのピンク色のドレスなのだ。
「これが妹のドレスだなんて、そんなの知るかぁ!!」
好感度を一気に3%も下げられて、悔しさからそう叫んだのをよく覚えている。