攻略不可能なクソゲーのヒロインに転生していたので、離脱したい 〜溺愛ルート? 何それ?〜
前世の私は数えきれないほどこのゲームをやったけど、結局一度もクリアすることができなかった。
どの選択肢を選んでも好感度の上がらないクソゲー。それがこのゲームだからだ。
ああっ! もう! 嘘でしょ!?
このままだと、私は確実に殺されちゃう!!
ベッドに飛び込み、ボスッと枕に顔を埋めて頭を抱える。
泣き出したいような暴れ出したいような黒く渦巻く感情の中で、どこか冷静に現状を受け入れている自分がいる。
「……でも、そっか。だからこの家の人たちはみんな私に冷たかったんだ」
家族として呼ばれたと勘違いした私に、3兄弟も使用人たちも誰も笑いかけてはくれなかった。
優しい言葉をかけてはくれなかった。
綺麗な部屋や服は用意してあったけど、それだけ。
なぜ私はここにいるのか、なぜこの家に連れてこられたのか、その意味を見出せない1ヵ月だった。
妹の身代わりと言いつつ、私をフェリシーと呼んで決して妹の名前で呼んでくることはなかった……。
それもこれも全部、裏を知ったら納得だわ。
ワトフォード家の娘の身代わりが必要だった理由。
それは、ルーカス・クロスターとの婚約を破棄にしたくなかったから。
クロスター公爵家との繋がりがほしかった長男エリオットは、妹が行方不明になった事実を隠し、身代わりを用意したのだ。
3人のうち誰かの好感度を100%にできれば、私はルーカス・クロスターと結婚する。
でも、0%になったら……。