攻略不可能なクソゲーのヒロインに転生していたので、離脱したい 〜溺愛ルート? 何それ?〜

ゲーム、スタート


「……とはいえ、本当にゲームが始まるのかな?」


 キャラの見た目や名前、設定などがすべて一致していたとしても、どうにも信じられない。
 信じられないというより、信じたくないのかもしれない。


 
 本当にゲームと同じことが明日から起きるの?
 でも、それならアレがないとどうしようも……って、あっ!
 


 目線を斜め下に向けたとき、見慣れたマークを発見した。
 開いた本の形をしたマーク。
 これが、先ほどと同じように白く光った状態で宙に浮いている。


「マイページのマーク!」


 ほぼ無意識にそのマークに指を当てると、ピロンといった軽快な音が聞こえた。
 それと同時に、目の前にアンティークフレームで囲われた画面がパッと出てくる。
 ゲームプレイ中に何度も見たものだ。

『好感度

 エリオット……8%
 ディラン……10%
 レオン……12%』


 
 現在の攻略対象者の好感度がわかるマイページ!!
 これがないと、今の好感度がわからないもんね!



「それにしても、この数字……全員ゲーム開始時の好感度と同じだ」


 改めて本当にここがあのゲームの世界であることを実感するとともに、これまでの自分の健気な行動を思い返してガックリしてしまう。

 何も知らなかったこの1ヵ月、3兄弟と仲良くなりたくて私なりに努力してきた。
 笑顔で挨拶をしたり、迷惑をかけないようになんでも言うことを聞いたり……。
 でも、全然距離は縮まらなかった。
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