平穏な生活を望む美貌の子爵令嬢は、王太子様に嫌われたくて必死です
少し離れた席に座っている噂好きの令嬢達のおしゃべりがまさにそれだ。
聞き齧った噂話を各々が持ち寄り、楽しそうに騒いでいる。
こんな聞くに値しない噂は聞き流すに限るのだが、今に至ってはつい聞き耳を立ててしまった。
フェリクス様とカトリーヌ様が親しげに話しているという部分がどうしても気になってしまう。
……私がフェリクス様と顔を合わせていないこの数週間もカトリーヌ様は王城に会いに行かれていたのね。しかも親しげ……。
フェリクス様がカトリーヌ様に笑いかける姿をつい想像してしまい、気持ちがズンと重くなった。
皮肉なことにちょうど昨年の今頃なのだ。
カトリーヌ様がギルバート様の心を掴み、私が婚約破棄をすることになったのは。
あの時と同じようなことが今度はフェリクス様を相手としてまたこの時期に起こるのではないかとつい考えてしまう。
……フェリクス様もカトリーヌ様と……。ダメ! 想像するだけで胸が張り裂けそうなくらい苦しいわ……!
「ちょっと、シェイラ? なんだか顔色が悪いけど大丈夫なの?」
私の異変を敏感に感じ取ったらしいマルグリット様が隣から心配そうに声を掛けてくれる。
どうやら同じ噂話がマルグリット様の耳にも届いていたようで、周りには聞こえないようにコソッと耳打ちしてきた。
「あんな噂話、気にしてはダメよ? あの男がストラーテン侯爵令嬢をパートナーにすることなんてあり得ないことだわ。今のところ一応わたくしのパートナーの予定だけど、もちろん卒業パーティーまでにシェイラとあの男が結ばれたというのならわたくしのことは気にしなくても大丈夫よ? お父様にパートナーをお願いするから」
上品な笑顔で笑いかけてくれるマルグリット様は、私とフェリクス様が上手くいくと信じきっている様子だ。
それは今の状況を知らないからだろう。
「……いえ、その可能性は全くないのでマルグリット様はフェリクス様とご出席なさってください。ただ、あの噂のようにもしかしたらカトリーヌ様とフェリクス様がということはあるかもしれません」
「……どういう、ことかしら?」
聞き齧った噂話を各々が持ち寄り、楽しそうに騒いでいる。
こんな聞くに値しない噂は聞き流すに限るのだが、今に至ってはつい聞き耳を立ててしまった。
フェリクス様とカトリーヌ様が親しげに話しているという部分がどうしても気になってしまう。
……私がフェリクス様と顔を合わせていないこの数週間もカトリーヌ様は王城に会いに行かれていたのね。しかも親しげ……。
フェリクス様がカトリーヌ様に笑いかける姿をつい想像してしまい、気持ちがズンと重くなった。
皮肉なことにちょうど昨年の今頃なのだ。
カトリーヌ様がギルバート様の心を掴み、私が婚約破棄をすることになったのは。
あの時と同じようなことが今度はフェリクス様を相手としてまたこの時期に起こるのではないかとつい考えてしまう。
……フェリクス様もカトリーヌ様と……。ダメ! 想像するだけで胸が張り裂けそうなくらい苦しいわ……!
「ちょっと、シェイラ? なんだか顔色が悪いけど大丈夫なの?」
私の異変を敏感に感じ取ったらしいマルグリット様が隣から心配そうに声を掛けてくれる。
どうやら同じ噂話がマルグリット様の耳にも届いていたようで、周りには聞こえないようにコソッと耳打ちしてきた。
「あんな噂話、気にしてはダメよ? あの男がストラーテン侯爵令嬢をパートナーにすることなんてあり得ないことだわ。今のところ一応わたくしのパートナーの予定だけど、もちろん卒業パーティーまでにシェイラとあの男が結ばれたというのならわたくしのことは気にしなくても大丈夫よ? お父様にパートナーをお願いするから」
上品な笑顔で笑いかけてくれるマルグリット様は、私とフェリクス様が上手くいくと信じきっている様子だ。
それは今の状況を知らないからだろう。
「……いえ、その可能性は全くないのでマルグリット様はフェリクス様とご出席なさってください。ただ、あの噂のようにもしかしたらカトリーヌ様とフェリクス様がということはあるかもしれません」
「……どういう、ことかしら?」