地雷カプブルー
推しカプの執着愛
☆輝星side☆


 球技大会当日になりました。

 梅雨時期というのに雲ひとつない晴天。

 絶好の半袖日和です。

 僕は体操服の袖から伸びる右腕をさすり、にんまりと微笑む。


 やっと1年中長袖生活から解放されました。

 右腕のヤケド痕は広範囲で、校内で晒したら気持ち悪がられちゃうかもと心配しましたが、全くもってそんなことにはならず……
 

 「輝星くん、ヤケドの痕見せて」

 「霞先輩を守った時にできたものなんですよね?」

 「幼なじみの両片思いのすれ違いジレジレ愛が、ついに実ったって聞いたよ」

 「キャー素敵すぎます! 私、カステラ推しになりました!」


 腐女子で元祖カステラ推しの流瑠ちゃんが、僕と霞くんの幼少期をドラマチックに脚色して広めてくれたらしい。

 幼なじみで両片思いだった美談の花が校内に咲き誇り、みんなが僕のヤケド痕を勲章だと褒めてくれるんです。


 「カステラカプが出るテニスの試合、絶対に応援に行きますから」


 キャーキャー騒ぐ女子たちにありがとうと軽くお辞儀をして、静かな場所まで駆け抜ける。

 人気のない体育館の壁に右半身を預けようと体を傾けた瞬間、上半身が後ろに引っ張られた。

 筋肉がのった腕が僕の首に巻き付いている。

 自由がきく顔だけで振り返れば奏多くんで、背後からホールドされているから逃げ出すことができない。
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