地雷カプブルー
頼りなく揺れる街灯の光が、僕とバス停だけを闇から浮かびあがらせている。
折れそうなほど薄い月が行方をくらませた。
さっきまで雲一つない夜空だったのに、明日は雨なのかもしれない。
放課後だけは大雨であってくれないかな。
そうすれば調理室からテニスコートを見下ろすことも、カスミソウカプを瞳に映して作り笑いを浮かべることもしなくてすむから。
雲間から顔を出した頼りない月に願いを込めてみたものの「天気は操れないから無理」と突き放された気がするのは、また月が雲に隠れてしまったせい。
他力本願はよくないよね。
そもそも部活中に窓の外を見なければいい話だし。
体力が吸い取られた時のように背骨がへにゃる。
体に力が入らない。
バス停に頭を預けたその時だった。
聞き覚えのある、僕の耳には入れたくない、鼓膜が拒絶するようなワイルドな笑い声が聞こえてきたのは。