地雷カプブルー

 アハハと楽しそうな声に重なるのは、自転車を引く音。

 地面を擦る足音。

 しかも足音は二人分。


 笑い声で身元がわれた。

 ゾッとなった僕は、上半身しか隠すことができないバス停に右腕をくっつけ、一体化を図り息をひそめる。

 どうしよう、奏多くんと霞くんがこっちに来るよ。

 暗がりだからまだ二人は僕の存在に気づいていないことだけが救いだけど、時間の問題だよね。


 「行ってみたい、カスミん家」とぼやいた奏多君に、「今度ね」と霞くんが了承した。

 「カスミが飼ってる犬、ポメラニアンだっけ? 白の」

 「茶色だよ。毛がふわふわなの」

 「俺のひざを寝床がわりに提供したら、茶ポメ喜ぶか?」

 「どうだろう。奏多の太もも、筋肉で固そうだし」

 「わしゃわしゃ撫でてやったら、俺に懐かせられる自信しかない」

 「フフフ、変な日本語。奏多は握力が半端ないんだから優しくね、怖がらせないでよ」


 二人の仲良さげな声を聞かされている僕。

 聞かされているという言葉は違うか。

 隠れている僕の耳が勝手に取得しているだけだし。

 冗談を言い合える関係がうらやましいよ。

 僕も小学校のころまでは、霞くんの発言におどけていたんだ。
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