地雷カプブルー

 「別に昔話からとったわけじゃないし」

 「光ってた竹を日本刀でスパッと切ったら、赤ちゃんが出てきたてきな?」

 「聞いてた? うちのかぐやとはペットショップで出会ったって言ったでしょ」

 「月からの使者がカスミの家に来たことないわけ? 今まで姫が世話になった、月に連れ帰る的な」

 「かぐやがいない生活なんて考えられないよ。縁起でもないこと言うのやめて」

 「お犬様にどんだけ愛情与えてんだよ。それ俺に向けろや、マジで」


 豪快な笑い声に、クスクスと上品な笑い声が混ざり合う。

 なんて耳に贅沢なハーモニーなんだろう。

 雲間から顔を出した月が、高音と低音の美声に酔いしれ聞きほれているよう。

 でも僕は違う。

 はっきり言って不快だ。

 不協和音を聞かされた直後のような痛苦しさで、心臓が締め付けられてしまうんだ。

 嫉妬で苦しい今こそ思い込まなきゃ。

 僕の中で霞くんと奏多くんが推しカプなんだ。

 美形で尊くてお似合いなんだって。

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