Honey Trap



お風呂から上がった私は自室に戻る。


バッグから取り出したスマホを確認すると、クラスの友人から何件かメッセージが来ていた。

それに当たり障りのない返信をする。


当然ながら、男からの連絡はない。


別に期待していたわけではないけれど、それを実感した途端、胸に昏い(かげ)が差した。

らしくもなく感傷的になる自分に、呆れて溜息が零れる。


何を恋する乙女みたいなことを思っているんだか。



(寂しい、だなんて……)



大きく深呼吸をして、心を落ち着かせる。


何も考えるな。

考えれば考えるほど、深みに嵌まるだけ。


このゲームに焦りは禁物、ゲームオーバーだけは絶対に避けなければならない。


終わらせる時は、自分のこの手で。



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