(総愛され予定の)悪役令嬢は、私利私欲で魔法界滅亡を救いたい!
「過去の事よ。私も会長に対しては、ご迷惑をおかけしたと思っているの。それに、目立つ王子様と結婚なんかしたら、大変だってようやく気がついたのよ。平凡な幸せの方が向いているのではないかとね」

 私が言い訳がましくそう言うと、イエルクは顔を見せずに笑ったようだった。

「……お元気そうで、本当によかったです。僕はこれで失礼しますね」

 そうすると、彼自身の影に溶けるように居なくなってしまったので、私はなんだか名残惜しくて、空に浮かぶ夕日を長い間見つめていた。



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