(総愛され予定の)悪役令嬢は、私利私欲で魔法界滅亡を救いたい!
 だから、私たちはいつも通っている学園で観戦出来るし、三つの魔法学園の生徒会が打ち揃うことを待つことになる。

 そして、一年生ではただ、楽しく観戦するだけのイベントになってしまっている。

 言い切ってしまうけど、これも共通ルートでの、ヒーローたちの格好良いスチルを鑑賞するためだけのイベントだからです!

 ……乙女ゲームの舞台なのだから、それも当たり前の話だった。

 来年はヒロインエミリーが、必要あって色々と頑張ったりするイベント『魔法学園対抗戦』でもあるんだけど、今年はあくまでエルネストとオスカー、そして、イエルクの格好良いところを観ようねというイベントなだけだ。

 生徒会の面々は、今は魔法闘技場のアクィラ生徒会に用意された控室に居るはずだ。

 忘れ物をして一人だけ控室の入り時間に遅れていた私は、目的地まで早足で急いでいた。

「ロゼッタ・ディリンジャーさん!」

 唐突に自分の名前が呼ばれて、私は周囲を見渡した。そこに居たのは、茶髪に垂れ目の美女。

 ……ん? この人って、もしかして、オスカーが女性に触れなくなった原因の、お姉さんでサリーさん?

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