(総愛され予定の)悪役令嬢は、私利私欲で魔法界滅亡を救いたい!
「……何か、私にご用でしょうか?」

 こうして急いでいるところを呼び止めたのだから、私に用事があるのだろう。

 ゆっくりとこちらへ近づいて来るサリーに、少しイライラしてしまった。

 だって、私が今、急いでいるのをわかっていてそうしているなら、彼女はとても性格が悪いなって思ってしまって。

「……私。オスカーのことが、とても好きなの。だから、彼に近付かないでちょうだいね」

 あ……これって、ヒロインのフローラが受けるはずのイベントなのかもしれない。確か生徒会入りして、彼の近くに居る彼女に牽制しに来たのよね。

「あの、どちらの誰ですか? お名前もわからない方の一方的な要求を聞けると思っています?」

 私は前世の記憶で知っているんだけど、彼女からは自己紹介は受けていない。一方的に名前を呼ばれて、こう言うことをされると、とても不快でしかなかった。

「私はオスカーの義姉サリーよ。彼とは血は繋がっていないから、余計な勘繰りはやめてちょうだい」

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