(総愛され予定の)悪役令嬢は、私利私欲で魔法界滅亡を救いたい!
 彼に嫌われ避けられているという自覚のある私は、会釈してから通り過ぎようとした。

「……ロゼッタちゃん! 少しだけ話せる?」

 今日私へ妙な要求をして来た姉の話だろうと容易に想像がつき、オスカーに促されるままに、講堂の壁際へと寄った。ちなみにこの講堂の壁には、至るところに守護魔法の呪文が刻まれている。悪しき魔法は、この講堂

「どうしたんですか? 何か……」

 私が話を促そうとすると、久しぶりに話したオスカーは好意的に微笑んだ。

「本当に……一瞬、誰かと思ったよ!」

「もしかして、喧嘩を売りたいんですか? このドレスが、似合わないってこと?」

 オスカーが何を言わんとしているのか、わからなくて、私は眉を寄せた。

 彼には以前、相当失礼なことをしたという自覚はあるし、友人を利用されてエルネストが激怒するのだって、当然のことだ。

「いやいや……全然、そんなつもりじゃなくてさ! 可愛いなあって!」

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