(総愛され予定の)悪役令嬢は、私利私欲で魔法界滅亡を救いたい!

23 不敵な笑み

「……ロゼッタ!」

「エルネスト様……どうかしましたか?」

 私はアクィラ生徒会の控え室から出て廊下を歩いていると、エルネストに呼び止められて振り返った。

 小走りで正式なローブを身につけているエルネスト、流石メインヒーローだという出で立ち。

 ちなみに、モブっぽい動きのする三年生の生徒会先輩も現在は控え室に居る。とても存在感が薄いけど……。

「これ。悪い……俺も帰ってから忙しく、渡さなければと常々思っていたんだが……」

 私はエルネストからぽんと渡された正方形の四角い箱を見て、すごく不思議になった。今までに見たこともないし、私の物ではないように思う。

「……え? これって……なんですか?」

 私が不思議そうにすると、エルネストも同じような不思議そうな顔になった。

「あの、洞窟の中で、これを抱えていたんだ。ロゼッタの物ではなかったのか……?」

 その時、私はとてもとても寒い洞窟の中で、手にしていた四角い箱をパッと思い出した。

 …あれだ!

「あ! 思い出しました! ……けど、川に流された場所にあったんですけど、私のものではなくて……」

 とは言え、エルネストもこれを返されても……というような微妙な表情になっていた。

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