(総愛され予定の)悪役令嬢は、私利私欲で魔法界滅亡を救いたい!
 ……うん。持って帰って、部屋に置いておこう……学生の頃の思い出として、懐かしくなるかもしれないし……。

「では、これは持って帰りますね。ありがとうございます……」

「それでは、それに何を封じたのも、ロゼッタではないのか?」

 エルネストは慌てたようにそう言い、私は彼が何を言っているのかわからなかった。四角い箱には呪文の文字が取り巻いている……あ、これ……ただの正方形ではなくて、中に何か入っている箱なんだ。

「……なんでしょう? 私ではないです」

「ふーん。封印を解いてみても良いか? 呪いの何かだとしても、今ここで何が起こってもなんとかして貰えるだろう」

 それもそうだ。今は魔法界でもトップクラスの面々がこのアクィラ魔法学園で行われる『魔法学園対抗試合』を観戦するために集まっている。

 何故かというと、生徒会の面々は各魔法学園のトップ……彼らに仲間入りすることになる魔法使いを観戦しに来るのは、不思議なことでもなんでもない。

 私が最後エルネストに箱を渡すと、呆気ないくらいに簡単に、何かが封じられていた箱は開いた。

「……指輪?」

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