(総愛され予定の)悪役令嬢は、私利私欲で魔法界滅亡を救いたい!

27 関係性

「あっ……」

 会場の奥……中央にある玉座……つまり、この場で一番身分の高い王太子殿下が座っているはずの場所に居る人を見て、私は思わず変な声を上げてしまった。

 え。嘘でしょう。あの人……見た事ある……っていうか、話したこともある……。

 周囲に居るアクィラ生徒会の面々は私が声を漏らして立ち止まったことで『何があったのか』と言わんばかりの不思議そうな顔で私を見たので、慌てて口を手で押さえた。

 え、あの人って、王太子殿下なの!?

 前に……白い竜に、乗っていた……リッチ先生の企みを防止出来たら、私と世界一周行っても良いよって言ってくれたあの人だ!

 白い竜の使い魔を持っていたし、絶対にただの魔法使いではないとは思って居たけど……第二王子エルネストのお兄様で、王太子殿下だったんだ。

 弟エルネストにはあまり似ていないけれど、美しい顔には、意味ありげな微笑……これは、私のことを……絶対に気がついているよね?

「……兄上。失礼しました。申し訳ありません」

 生徒会メンバーの一人である私の粗相を、会長エルネストが代わりに謝ったけれど、王太子殿下は鷹揚に頷いてにっこりと微笑んだ。

「構わん。予定より少々早く会えてしまったが、僕はちゃんと約束を覚えているぞ」

 エルネストは意外過ぎる兄の言葉を聞いてから、後ろで息を殺していた私を振り返った。

「ロゼッタ……兄上に、会ったことがあるのか?」

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