(総愛され予定の)悪役令嬢は、私利私欲で魔法界滅亡を救いたい!
 そんなそんな……なんだかんだ言っても、なんかしらのきっかけで、乙女ゲームは進んで行くんでしょう?

 なんて……毛虫程度のことで、何も変わらないはず……と、内心上手くいくだろうと居た私は、内心一人焦っていた。

 いつものように寮に戻り食事とお風呂を済ませ、後は寝るだけにはなったんだけど、色々と考えていたら居てもたってもいられなくなり、女子寮屋上に一人座り込んで星空を見上げていた。

 この魔法界の月は、ふたつある。青い月と赤い月。

 今夜は青い月が満月だから、赤い月は新月で見えない。特別にふたつ同時に満月になる日もあるんけど……そんなことは、もう横に置いておいて……今の私の懸念事項は。

「え。これってまずいよね。どう考えても、まずいよね……」

 何がまずいって、エンディングの卒業式前の最終イベントとして、攻略対象者との恋の成就を決定づける大事件が、解決せぬままになりそうだからだ。

 魔法学園に居る全員の魔力を吸い取り、魔法界を牛耳ろうとしているアクィラ魔法学園の教師の一人、アレクサンドロ・リッチ先生の企みを、この段階で知っているのは、私一人だけだ。

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