(総愛され予定の)悪役令嬢は、私利私欲で魔法界滅亡を救いたい!
 エルネストとオスカーの協力は、きっと得られなさそう。

 だって、二人は今の時点で、私にあまり良い印象を持っていないし、イエルクに関しては無口でヒロインフローラ以外には心を開かない設定なので、期待薄だった。

 けど……ここで私が何もしないと、学園中の魔力を得たリッチ先生によって、魔法界は支配されてしまう。

 どうしようと大きくため息をついていた私はその時に、空を飛ぶ白竜に目を留めた。

「あ……綺麗」

 黒い夜空を泳ぐように飛行する白竜は、大きな翼を広げてゆっくりとした速度で移動していた。

 竜は魔法界には数多く生息しているし、確かロゼッタとしての記憶の中には覚えきれないほどの種類の竜が居るはずだ。

 確か……二年生の夏休みの課外授業で、魔法使いとしての使い魔を得る、魔の森での特別課外授業もあるはず。

 ヒロインフローラは、その後のイベントの関係もあり、選べずに聖なる力を持つ白い鷲だったけど……悪役令嬢ロゼッタは、何の使い魔を従えていたんだろう。

 悪役令嬢ロゼッタは、フローラを邪魔をする時以外はろくに出てこないから、そういう基本知識さえわからないのよね。

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