(総愛され予定の)悪役令嬢は、私利私欲で魔法界滅亡を救いたい!
「……その教師の名前は、僕には教えられる? 君がやりづらいというのなら、僕が代わろう。犯人の名前とどんな犯罪をしているか、それを教えてくれたなら、君はもうこれからは心配もせす何も考えなくて良い」

 すべて自分に任せろと言わんばかりに、私をじっと見つめる彼の綺麗な目は、真剣だった。もしかしたら、自分で調べてくれようとしてくれている?

 けれど、私は首を横に振った。それはあまりにも、リスクが高すぎる気がして。

「……こうして会ったばかりで、貴方の名前も知らないのに、そこまで信用出来ない」

 彼が私を助けてくれる存在なら、それで良いかもしれない。

 ……もし、逆の立場だったとしたら? それこそ、目も当てられない事態になってしまう。

「はは。それは、当然だなー……うーん。なんとなく感じるんだけど、君には覚悟が足りないみたいだ。自分で調べるにしても、誰かに助けを求めるにしても……それをどうにか防ぎたいと思っているけど、積極的に事を起こすための覚悟をまだ決めかねているように俺は思うよ」

< 36 / 158 >

この作品をシェア

pagetop