(総愛され予定の)悪役令嬢は、私利私欲で魔法界滅亡を救いたい!
 けど……彼の元に通わなくなって、少し時間を置いたから、もしかしたら態度が少しは軟化しているかもしれない。

「あっ……エルネスト殿下。おはようございます」

「……おはよう。だが、以前に俺に近づくなと言ったはずだ。ロゼッタ」

 久しぶりに話しかけた私の髪型が変わっていることに気がつかなかったのか、エルネストは驚いたように軽く目を見開いていた。

 けど、どんなに冷たい対応になったとしてもエルネストはロゼッタを居ないものとして無視しないし、挨拶だけは返してくれるんだよね。

 魔法界の第二王子という複雑な立場でもあるけど、エルネストはメインヒーローらしく、真面目で優しく良い人なのだ。

「ごめんなさい……」

 顔を俯かせ、素直に謝った私が意外だったのかもしれない。エルネストはまた驚いた様子で振り返ったけど、そこで声も掛ける事なく去ってしまった。

 はあっ……駄目。これだと、とりつく島もない。エルネストは可能性ゼロだし諦めよう。

 ……次!! 次はオスカーよ!!

 本来の私であれば、自分を嫌っている事を隠しもしないエルネストに話しかけることは、絶対に避けたかったと思う。

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