(総愛され予定の)悪役令嬢は、私利私欲で魔法界滅亡を救いたい!
 それにしても、オスカーは逃げ足が速い……彼は黄魔法使いなんだけど、適正ゆえに魔法剣士として特別に訓練されていて、戦闘能力が高くとても強いという設定も持っている。

 フローラを守るために誰かの力を借りるなら、オスカーが一番良いだろうと思っていたけど、これはどう考えても難しそう。

 はー……女性に甘く単純なところのあるオスカーなら、上手く言い包められるのではないかと思ったロゼッタが、彼を利用してエルネストの居場所を何度か確認していた事を知り、エルネストが激怒したことがあったあった……そういう記憶が、私の中にある。

 だから、エルネストから、私と話すなって言われているんだ。

 ……仕方ない。こうなってしまうよね。

 無関係の友人を自分に近づこうとして理由で利用されようとしたのなら、義理堅い性格のエルネストは、ロゼッタを許すはずがない。

 大きくため息をついた。先が思いやられる。

 嫌われている。今の自分のしたことでもないけど、とても嫌われている。

 エルネストが私への好感度がマイナス100だとすると、オスカーは好感度マイナス80くらいかしら……ふふふ。本当に、全然笑い事でもないけどね。

 ……ううん。暗い材料で自分を病ませるの、やめよう。落ち込んでいる時間が勿体無い。

 それでは……最後の希望、三人目のイエルクよ!


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