(総愛され予定の)悪役令嬢は、私利私欲で魔法界滅亡を救いたい!

09 勉強を教えて

「……そうなんですか。ディリンジャー先輩は、生徒会にどうしても入りたかったんですね。確かに先輩の言う通りに内申も良くなりますし、卒業後の就職先には困らないですよね」

「う、うん」

 イエルクの純真な真っ直ぐな視線は、あの謎行動を説明する理由を並べた私のことをすごいすごいと言わんばかりで、なんだか心が痛む。

 ここで、少々私の事情を誤魔化してしまったところで、別に投獄される訳もないんだけど……嘘をつくのは、前世から苦手だ。

 素直な性格のイエルクは『私は出来れば、二年生では監督生になりたくて、実力テストで一番になりたいから、神童と呼ばれているイエルクくんに勉強を教えて欲しいんだよね』という、私が作った苦し紛れの嘘を、すんなりと受け入れてくれた。

 高等部になって、ようやく魔法学園に入ったイエルクは色々と事情あり田舎暮らしを続け集団生活に慣れてなく、人馴れをしていないから誰かの言葉を疑うことをまだ知らない。

 魔法界の義務教育は、中等部までは自由で高等部の三年間のみなのだ。あとは、魔法大学に進むのも就職するのも、その子の自由になる。

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