(総愛され予定の)悪役令嬢は、私利私欲で魔法界滅亡を救いたい!
 女子寮と男子寮は学園の中で言うと正反対の位置にあるので、そこへ戻るにはかなりの距離がある。

 それなのに、自分と喋っていると暗くなってしまったから、イエルクがさりげなく送っていてくれたことに気がつき、胸がきゅんと、ときめいてしまった。

 え。まだ出会ったばかりなのに、優しい。

 当たり前のことなのかもしれないけど、ロゼッタの周囲が彼女に優しくない男ばかりだから、やたらと際立つ。兄も第二王子もその友人も酷い扱いだったし!

 イエルク……私には、好感度が唯一マイナスではない貴方しか居ない。

 親しくなって、リッチ先生の企みを防ぐのを協力してもらうのは、貴方に決めるわ!

 袋小路だと思っていた道すじに突破口が見つけられて、よーしと機嫌よくなった私は女子寮の寮番、三頭の犬《ケルベロス》に挨拶をしてから扉を開いた。

 今日は三頭とも機嫌良いみたいで、帰寮が遅くなったのに、ねちねちと嫌味は言われなかった。良かった。

 とは言え、生徒会に入るための条件としては①実力テストで学年一位になる②同じように闘技大会で学年一位になる③学年主任の先生から推薦を貰う、の3つしかない。

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