(総愛され予定の)悪役令嬢は、私利私欲で魔法界滅亡を救いたい!
 最初から脈のない恋に掛けている時間なんて、まだ若いとは言え、単純に考えてもったいないもの。可能性ゼロの恋に意地になってもな何の意味もない。

「良かった。それより……ディリンジャー先輩、もしかして……何か気になることでも、あるんですか?」

 イエルクはさっきから、私がこの図書館の中にある何かに気を取られていることに、気がついていたみたいだ。

 そうそう。実はエッセル先生からの課題、双月草の資料を探しに行きたいなーって、思ってた。

「そうなの……少し、調べ物したいことがあって……」

 ゲーム内では図書館の使用率が上がる度に、ランクの高い書棚が見られるようになっていた。

 ゲームの進行上、先に重要な事の書いてある魔導書を見られればおかしなことになるし、仕方ないけど……なんだか、不便すぎる仕様だよね。

 だけど、こうして現実にある図書館では、もちろん、そんなことはない。

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