(総愛され予定の)悪役令嬢は、私利私欲で魔法界滅亡を救いたい!
 何故、ゲーム内でフローラがこの記述に気がついたかというと、怪我をした攻略対象者を救うため『双月草』という記述のある本を、片っ端から持って来てくださいと司書に必死で頼み込み、同情してくれた司書が特別な魔法でその通りにしてくれたからだ。

 もちろん、何百冊もある本の中身を、一人ですべてチェックすることは不可能だったんだけど、性格の良い彼女は良い友人に恵まれていたし、結局のところ、命を救いたいからという名目で集まってくれた学生全員の人海戦術でなんとかしてしまえたのだ。

 学生らしい青春ぽくて、このエピソード、私はとても好きだった。

「おおまかだけど、こうして地図に位置だって、書いてくれているし……まあ、ゲーム内で双月草が見つからなかったら、もうバッドエンドだし、わからなければ話が進まなくて困るから、こうしてわかりやすく書かれているのは、当然なのかもしれないけど……」

 双月草は非常に貴重な回復系で最高とも言える薬草で、今までこの記述が見つからなかったのは、単なる奇跡だったのかもしれない。

「……行くしかないよね。私が学力テストで、エルネストになんて敵う訳ないし」

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