(総愛され予定の)悪役令嬢は、私利私欲で魔法界滅亡を救いたい!
 寮番のあの犬たちが、懸命にエルネストへ私の不在を訴えている光景を想像して、思わず笑いそうになった。いつも口うるさいけど、可愛い。

「ごめんなさい。エルネスト殿下。けど、どうしても双月草が欲しくて……」

「……エッセル先生から、この前に君が生徒会に入りたいと言い出したことは聞いている。それは、生徒会入りの特別条件の条件なのだろう。君が生徒会に入りたいと言うのなら、俺には止める権利はない。条件はクリア出来たのなら、好きにするが良い……だが、もし俺に近付きたいという目的であれば、それはとても迷惑だ」

 エルネストから、はっきりと迷惑だと言われた言葉は、胸に突き刺さる……これはもう、仕方ない。

 だって、彼にそれだけ嫌われても仕方ないことを、私っていうかロゼッタは、これまでにたくさんしたからだ。

「ごめんなさい……そういう目的ではありませんし、エルネスト殿下には、やましい気持ちで接することはないと誓います……ですから、」

「それならば、別に良い……ほら、双月草が咲きそうだ。採取しなくても良いのか? 察するにこの場所を調べるまでに、随分と苦労したんだろう?」

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