(総愛され予定の)悪役令嬢は、私利私欲で魔法界滅亡を救いたい!
 公明正大なエルネストらしく、ならばそうすれば良いとばかりに、促され高原の中央を見た私は、あまりに神秘的な光景に息をのんだ。

 紫の月光を浴びた草原にある白い蕾が花開き、美しい花が咲いた。なんて、綺麗なの。

「ああ、良かった! ……ありがとうございます」

 私はエルネストに微笑んで、新鮮さを保つ魔法のかかった採取用の瓶を取り出し、双月草を、その瓶へと入れた。

 ……良かった! これで、私も生徒会に入れる!

 まだまだ、色々とスタートラインに立てただけだけど、生徒会に入りさえすれば、来年は生徒会顧問になるリッチ先生にだって、近付きやすいだろうし。

「嬉しそうだ……良かったな」

「エルンスト殿下のおかげです。ありがとうございます」

 お礼を言った私が、反射的に深くお辞儀をしかけたんだけど、しまった……魔法界ではお辞儀なんて、しません!

 若干、挙動不審な動きになった私を、不思議そうに見てから、エルネストは言った。

「……髪型を変えたのか。ロゼッタ」

「ええ。あの巻き髪って、時間が掛かるので、朝の時間の効率を考えて」

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