(総愛され予定の)悪役令嬢は、私利私欲で魔法界滅亡を救いたい!
「そうよね……私も贅沢は言わないんだけど、せめて……もう少し、味付けには工夫して欲しいっていうか……」

 言葉を濁した私に、イエルクくんは頷いた。

「わかります。あと、塩をかければ良いと思っているのか、塩辛すぎて……もう、食べられない時もあります」

 今まで不満はあれど、事情があり人を避けていたせいか誰にも言えなかったのか、イエルクの口からはどんどん食事に関する不満が溢れて出て居た。

「うんうん。本当だよね。味付けは、適量で良いんだよね……わかってないよね」

 私はもぐもぐと硬いオーク肉を噛んで、なんとか咀嚼した。本来ならオーク肉は高級食材のひとつで、オークキングの肉は、美食家の中でも人気が高い。

 けどけど、私の食べているオーク肉の切り落としと野菜を炒めただけのものは、てかてかと光り油でぎとぎとだし、その見た目だけでも食べる気が失せる。

「……ディリンジャー先輩は、アクィラ出身だから、気にならないのかと思っていました」

 イエルクはにっこりと微笑むと、自分もまったく具のないスープを飲んで微妙な表情になっていた。

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