(総愛され予定の)悪役令嬢は、私利私欲で魔法界滅亡を救いたい!
「あ! ロゼッタ先輩、これを見てください。きらきらした輝く唇になるグロスですって! わー、陶器のような肌になれるファンデーション! それに、本当にまつ毛が長くなるマスカラ!」

「フローラ、もう……落ち着いて。わかったから」

 フローラはキンガムチェックの布張りがされた小さな籠に、どっさりと欲しい化粧品を入れていた。お小遣いをここで使い切っても良いと思っているらしい。

 可愛い女の子って、何の努力もせず可愛い訳ないし、フローラがこれだけ可愛い理由は可愛さへの貪欲な追求なのかもしれない。

「あ。そういえば……合宿する島で、確か、泳いだりも出来るんですよね? 先輩、水着はどうします? この後は、買いに行きます?」

 吟味に吟味を重ねていたフローラだけど、今日はそろそろこの辺で勘弁してやるかとばかりに、会計の方へと歩き始めたので、彼女の三分の一ほどの分量の化粧品を持った私もそれに続いた。

「水着は良いわ。私……日焼けは、したくないから」

 完全にヒーローサービススチルを意識しているシーンのため、泳ぐことの出来る小さな砂浜は合宿所の近くにあった。

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