王子様の恋人になるお仕事はじめました
ヴェサリスが紹介してくれた。
男性は、映画監督のアルジャーノ。ヴェサリスの学生時代の友人だそう。ヴェサリスはアルジャーノ監督に、わたしをアルオニア王子の友人だと紹介した。
アルジャーノ監督は大きな目をくりくりっと動かし、豪快に笑った。
「びっくりしたなぁ! あのツンと澄ましたアルオニア王子に、こんな可愛い彼女がいるとは!! どうだい? 俺の映画に出てみないか?」
「いえいえっ! わたしにはそのような素質がありませんので!」
アルジャーノ監督の声は大きい。周囲がざわつく。
「あの女性が、アルオニア王子の恋人?」
「どこの令嬢なんだ? 見たことがない」
「だが品がある。今日が社交会デビューなのかもしれないぞ」
「可憐で、優しそうな女性だ。王子はどこで見つけてきたのだろう?」
ヴェサリスの袖を引っ張って、耳元で訴える。
「どうしましょう! 噂されています!!」
「放っておきましょう。人の口に戸は立てられません」
「でもっ……!!」
今度は、中肉中背の男性がヴェサリスに声をかけてきた。
ヴェサリスは交友関係が広いらしく、会場内に知り合いが何人もいるらしかった。
わたしはアルオニア王子の恋人ということになってしまって、出会いや、結婚に向けて話は進んでいるのか聞かれる。ヴェサリスがうまくはぐらかしてくれるけれど、非常に気まずい。
わたしは化粧室に避難した。
ところが今度は、化粧室にいる若い女性たちに王子とどのような関係なのか質問されてしまった。
「アルオニア様とは、ただの友人なんです」
「本当に? でも最近、国立劇場で女性と親しげに話しているのが目撃されたわ。それって、あなたじゃないの?」
「あー……」
「やっぱり、あなたなのね! 私の名前はソニア。友達になりましょう!!」
「抜け駆けなんて、ずるい! リルエさん、私の名前はアニエス。覚えてね。今度うちに遊びにいらして。アルオニア王子を交えて、親しくなりましょうね」
「私のことも覚えてちょうだい! 私はユリシア。あぁ、アルオニア様の彼女と友達になれるなんて夢みたい。みんなに自慢しちゃおう!」
話が勝手に進んでいく。
男性は、映画監督のアルジャーノ。ヴェサリスの学生時代の友人だそう。ヴェサリスはアルジャーノ監督に、わたしをアルオニア王子の友人だと紹介した。
アルジャーノ監督は大きな目をくりくりっと動かし、豪快に笑った。
「びっくりしたなぁ! あのツンと澄ましたアルオニア王子に、こんな可愛い彼女がいるとは!! どうだい? 俺の映画に出てみないか?」
「いえいえっ! わたしにはそのような素質がありませんので!」
アルジャーノ監督の声は大きい。周囲がざわつく。
「あの女性が、アルオニア王子の恋人?」
「どこの令嬢なんだ? 見たことがない」
「だが品がある。今日が社交会デビューなのかもしれないぞ」
「可憐で、優しそうな女性だ。王子はどこで見つけてきたのだろう?」
ヴェサリスの袖を引っ張って、耳元で訴える。
「どうしましょう! 噂されています!!」
「放っておきましょう。人の口に戸は立てられません」
「でもっ……!!」
今度は、中肉中背の男性がヴェサリスに声をかけてきた。
ヴェサリスは交友関係が広いらしく、会場内に知り合いが何人もいるらしかった。
わたしはアルオニア王子の恋人ということになってしまって、出会いや、結婚に向けて話は進んでいるのか聞かれる。ヴェサリスがうまくはぐらかしてくれるけれど、非常に気まずい。
わたしは化粧室に避難した。
ところが今度は、化粧室にいる若い女性たちに王子とどのような関係なのか質問されてしまった。
「アルオニア様とは、ただの友人なんです」
「本当に? でも最近、国立劇場で女性と親しげに話しているのが目撃されたわ。それって、あなたじゃないの?」
「あー……」
「やっぱり、あなたなのね! 私の名前はソニア。友達になりましょう!!」
「抜け駆けなんて、ずるい! リルエさん、私の名前はアニエス。覚えてね。今度うちに遊びにいらして。アルオニア王子を交えて、親しくなりましょうね」
「私のことも覚えてちょうだい! 私はユリシア。あぁ、アルオニア様の彼女と友達になれるなんて夢みたい。みんなに自慢しちゃおう!」
話が勝手に進んでいく。