王子様の恋人になるお仕事はじめました
「全部誤解です! 私はリルエさんと友達になりたかっただけ! 親交を深めたくてこの部屋に来たら、男たちがいて……。こんなことになるなんて、私も知らなかったのです!!」
「ガーネットに聞く。シェリアの話は、君が話したことと随分食い違っている。どちらが正しい?」
「ねぇ、ガーネット。私の話したことで合っているわよね?」
「黙れっ! ガーネットに聞いているんだ!!」
シェリアは、じっとりとした目でガーネットを見つめた。ガーネットは視線を避けるようにうつむくと、弱々しい声で答えた。
「無理よ……。この場を誤魔化しても、男友達は本当のことを話すわ。どのみち、嘘がバレてしまう。リルエさんに謝罪したほうがいいわ……」
「あなたっ!!」
シェリアは怒りで目を吊りあげ、唇を震わせた。
王子はシェリアに近づくと、真正面から冷たく睨みつけた。
「金輪際、リルエに近づくな。二度と近づかないと誓えば、このことは公にしないでおく。君に情けをかけてのことではない。リルエを思ってのことだ。君がしたこと、しようとしていたこと。すべて、君の両親に報告する。僕は君を許す気はない」
怒気を孕んだ凄みのある声に、シェリアは力が抜けたように壁に寄りかかった。
「こんなつもりじゃ……」
「誓う気がないようだ。爵位返上を視野に……」
「誓うわっ!! 誓うわよ……。二度とリルエさんに近づかない。話しかけない。だから身分を取り上げないで……ごめんなさい……」
「もし誓いを破れば、僕は君に何をするか分からないよ? 覚えておいて」
シェリアはヴェサリスに腕を引かれ、ガーネットと共に部屋から出ていった。
二人きりになった部屋で、わたしは王子に抱きしめられた。わたしも王子の背中に腕を回し、広い胸に身を預けた。
「リルエ、怖い思いをさせてしまってごめん」
「助けに来てくれて嬉しかったです……ありがとうございます……」
恐怖から解放され、声を上げて泣くわたしの頭を、包み込むような大きな手がやさしく撫でる。
厳重に蓋をしていた気持ちを、言葉にだしてしまった。
——アルオニア様が好き。好きになったことを、後悔していない。
契約終了後。離れてしまって、もう会うことがないとしても、わたしはずっと彼を好きでいるだろう。
「ガーネットに聞く。シェリアの話は、君が話したことと随分食い違っている。どちらが正しい?」
「ねぇ、ガーネット。私の話したことで合っているわよね?」
「黙れっ! ガーネットに聞いているんだ!!」
シェリアは、じっとりとした目でガーネットを見つめた。ガーネットは視線を避けるようにうつむくと、弱々しい声で答えた。
「無理よ……。この場を誤魔化しても、男友達は本当のことを話すわ。どのみち、嘘がバレてしまう。リルエさんに謝罪したほうがいいわ……」
「あなたっ!!」
シェリアは怒りで目を吊りあげ、唇を震わせた。
王子はシェリアに近づくと、真正面から冷たく睨みつけた。
「金輪際、リルエに近づくな。二度と近づかないと誓えば、このことは公にしないでおく。君に情けをかけてのことではない。リルエを思ってのことだ。君がしたこと、しようとしていたこと。すべて、君の両親に報告する。僕は君を許す気はない」
怒気を孕んだ凄みのある声に、シェリアは力が抜けたように壁に寄りかかった。
「こんなつもりじゃ……」
「誓う気がないようだ。爵位返上を視野に……」
「誓うわっ!! 誓うわよ……。二度とリルエさんに近づかない。話しかけない。だから身分を取り上げないで……ごめんなさい……」
「もし誓いを破れば、僕は君に何をするか分からないよ? 覚えておいて」
シェリアはヴェサリスに腕を引かれ、ガーネットと共に部屋から出ていった。
二人きりになった部屋で、わたしは王子に抱きしめられた。わたしも王子の背中に腕を回し、広い胸に身を預けた。
「リルエ、怖い思いをさせてしまってごめん」
「助けに来てくれて嬉しかったです……ありがとうございます……」
恐怖から解放され、声を上げて泣くわたしの頭を、包み込むような大きな手がやさしく撫でる。
厳重に蓋をしていた気持ちを、言葉にだしてしまった。
——アルオニア様が好き。好きになったことを、後悔していない。
契約終了後。離れてしまって、もう会うことがないとしても、わたしはずっと彼を好きでいるだろう。