王子様の恋人になるお仕事はじめました
その日以降。わたしは屋敷に行かなかった。王子から何度か連絡が来たけれど、失恋のトドメを刺されるのが怖くて会いに行けなかった。
最後まで恋人役を頑張ると言ったのに、わたしは嘘つきだ。
そうして、卒業パーティーの日を迎えた。
「今日で、恋人役の仕事が終わり。苦い終わり方になっちゃった……」
失恋の痛みは想像以上に苦しくて、あの日以来泣き暮らしていた。
本気で人を好きになるのがこんなに苦しいものなら、もう一生誰も好きになりたくないと思うほどに、心が散れぢれに裂かれてしまった。
卒業パーティーの準備をしている様を遠くに聞きながら、トイレ掃除に精を出す。すると突然オルランジェが現れた。
「リルエちゃん、探したわよぉ!! 清掃会社の人と話してね、退職したからね。そういうわけで、清掃の仕事は終わり!」
「退職? 誰がですか?」
「もぇ、おとぼけさんなんだから。リルエちゃんに決まっているじゃない!」
「ええっ⁉︎ なんでわたしが退職を?」
オルランジェは、わたしの手からトイレブラシを取り上げた。
「そういえば、リルエちゃん。この二週間、屋敷に来なかったのはどうして? アル王子、リルエちゃんに嫌われたって落ち込んでいたわよ」
「違います。嫌われたのはわたしです!!」
「好かれているのに、どうやったらそんな思い込みができるの?」
「好かれている? だって……」
失恋に至るまでのことを打ち明けると、オルランジェは両手を頬に当て、瞳を輝かせた。
「きゃあ〜! これぞまさしく、じれキュンね!! ボタンが掛け違うように、気持ちがすれ違ってしまったのね。恋の魔法使いオルランジェにお任せあれ!」
最後まで恋人役を頑張ると言ったのに、わたしは嘘つきだ。
そうして、卒業パーティーの日を迎えた。
「今日で、恋人役の仕事が終わり。苦い終わり方になっちゃった……」
失恋の痛みは想像以上に苦しくて、あの日以来泣き暮らしていた。
本気で人を好きになるのがこんなに苦しいものなら、もう一生誰も好きになりたくないと思うほどに、心が散れぢれに裂かれてしまった。
卒業パーティーの準備をしている様を遠くに聞きながら、トイレ掃除に精を出す。すると突然オルランジェが現れた。
「リルエちゃん、探したわよぉ!! 清掃会社の人と話してね、退職したからね。そういうわけで、清掃の仕事は終わり!」
「退職? 誰がですか?」
「もぇ、おとぼけさんなんだから。リルエちゃんに決まっているじゃない!」
「ええっ⁉︎ なんでわたしが退職を?」
オルランジェは、わたしの手からトイレブラシを取り上げた。
「そういえば、リルエちゃん。この二週間、屋敷に来なかったのはどうして? アル王子、リルエちゃんに嫌われたって落ち込んでいたわよ」
「違います。嫌われたのはわたしです!!」
「好かれているのに、どうやったらそんな思い込みができるの?」
「好かれている? だって……」
失恋に至るまでのことを打ち明けると、オルランジェは両手を頬に当て、瞳を輝かせた。
「きゃあ〜! これぞまさしく、じれキュンね!! ボタンが掛け違うように、気持ちがすれ違ってしまったのね。恋の魔法使いオルランジェにお任せあれ!」